投資信託を選ぶとき、「アクティブ型」と「インデックス型」という言葉を目にすることが多いです。特に、アクティブ投信は運用のプロが銘柄を厳選するため、初心者でも高いリターンが期待できそうだと考える人もいるでしょう。
しかし実際には、アクティブ投信が必ずしも儲かるわけではなく、むしろ初心者には向かないことが多いです。
アクティブ投信とは?インデックス投信との違い
アクティブ投信は、ファンドマネージャーが市場平均を上回る運用成績を目指して、独自の分析に基づいて銘柄を選定する投資信託です。一方、インデックス投信は日経平均やTOPIXなど特定の指数に連動するよう機械的に運用されます。
両者の違いは、運用の自由度とコストに現れます。
運用スタイルの違い
インデックス投信が指数と同じ銘柄構成をそのまま保有するのに対し、アクティブ投信では運用担当者の判断が大きく反映されます。企業調査や経営者へのヒアリングを行い、成長性が高いと判断した銘柄に集中投資することも可能です。そのぶん、運用には専門知識と経験が求められます。
コストの違いが大きい
運用にかかる手間が異なるため、信託報酬にも差が生じます。金融庁の資産運用業高度化プログレスレポート2023によれば、日本株で運用する投資信託の総経費率は、インデックス型が平均0.55%であるのに対し、アクティブ型は1.52%となっています。年間で約3倍のコスト差がある計算です。
| 運用タイプ | 平均総経費率 | 運用方針 |
|---|---|---|
| インデックス投信 | 0.55% | 指数に連動 |
| アクティブ投信 | 1.52% | 市場平均を上回る運用を目指す |
長期で運用すればするほど、このコスト差は複利効果で拡大していきます。仮に同じリターンを得られたとしても、手元に残る利益はインデックス投信のほうが多くなる可能性が高いです。
アクティブ投信の大半は市場平均に勝てない現実
「プロが運用するなら安心」と考えがちですが、実際のパフォーマンスを見ると話は別です。
多くのアクティブ投信は、高いコストを払っているにもかかわらず、インデックス投信を下回る成績に終わっています。この厳しい現実が、初心者におすすめしにくい最大の理由といえます。
勝率はわずか2割程度
金融庁の調査では、日本株アクティブ投信のうち、ベンチマークに勝っているファンドの割合は過去10年で約33%にとどまります。つまり、7割近くのアクティブ投信が市場平均を下回っているわけです。
米国や欧州と比較しても、日本のアクティブ投信の勝率は高めとはいえ、それでも3本に2本は負けている計算になります。
- 日本のアクティブ投信:過去10年でベンチマーク超過リターンの勝率33.3%
- 米国のアクティブ投信:同期間の勝率13.4%
- 欧州のアクティブ投信:同期間の勝率21.3%
隠れインデックスの問題
さらに問題なのは、アクティブ投信として高い信託報酬を徴収しながら、実際にはインデックス投信とほとんど変わらない銘柄構成になっている「隠れインデックス」の存在です。
こうしたファンドは、名ばかりのアクティブ運用でコストだけが高くなり、投資家にとってメリットが乏しいです。
運用会社の透明性が低いケースも多く、どのような基準で銘柄を選んでいるのか、なぜその運用方針なのかが明確でない商品も散見されます。金融庁もこうした状況を問題視しており、プロダクトガバナンスの強化を求めている状況です。
初心者がアクティブ投信を避けるべき3つの理由
投資経験が浅い段階では、できるだけシンプルでコストが低い商品から始めるのが賢明です。アクティブ投信は、その点で初心者向きとは言いがたい特徴を複数抱えています。
具体的には、コスト、選択の難しさ、そして運用の安定性という3つの観点から問題があります。
1. 高コストが長期運用の足かせになる
前述の通り、アクティブ投信の信託報酬はインデックス投信の約3倍です。運用期間が10年、20年と長くなれば、このコスト差は無視できない金額になります。初心者が資産形成を目的に長期投資を行うなら、コストを抑えることが何より重要です。
2. 良質なファンドを見極めるのが困難
アクティブ投信は5000本近く存在し、その中から優れた商品を選ぶには専門知識が必要です。過去のリターンだけでは判断しにくく、シャープレシオなどの指標を理解し、運用担当者の経歴や運用方針の一貫性まで確認しなければなりません。初心者がこうした分析を行うのは現実的ではありません。
3. 運用成績の安定性に欠ける
アクティブ投信は運用担当者の手腕に依存するため、担当者が交代すると運用方針が変わり、成績が安定しないケースがあります。また、特定のテーマに偏った投資を行うファンドでは、市場環境の変化で大きく値動きすることもあります。初心者が安心して持ち続けられる商品とは言いにくいです。
| ポイント | インデックス投信 | アクティブ投信 |
|---|---|---|
| コスト | 低い(0.5%前後) | 高い(1.5%前後) |
| 選択の容易さ | シンプルで分かりやすい | 商品数が多く選択が難しい |
| 成績の安定性 | 市場平均に連動 | 運用者次第で変動 |
投資信託を使った資産形成では、コストを抑え、長期で安定したリターンを得ることが基本です。アクティブ投信は一部で市場平均を大きく上回る成績を残すこともありますが、それを事前に見極めるのは至難の業といえます。
初心者がまず手を出すべきは、低コストで透明性の高いインデックス投信です。その上で投資経験を積み、リスク許容度が明確になってから、必要に応じてアクティブ投信を検討するのが堅実な選択といえます。